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支援の見立てと方向性

ひきこもりの方への支援

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 こんにちは。愛知県安城市の「カウンセリングとソーシャルワークのさんぽ幸せ研究所」の原田亘です。

 お子さんが長い期間お部屋にひきこもったままで家族と話もできない、夜間にコンビニに行く程度でほとんど部屋から出てこない、家族と話はするが自宅から出ることがないなど、いわゆる「ひきこもり」の方のご相談があります。

 年齢は、20歳前の若い方もいれば、40歳を過ぎた方もいますし、「ひきこもり」の期間も数カ月から10年単位の方まで本当にさまざまな方がいらっしゃいますが、当然のことながら、その状況によって支援の見立てや方向性は違ってきます。

 厚生労働省では、いわゆる「ひきこもり」について、「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」の中で、以下のように定義をしています。

 「様々な要因の結果として社会的参加を回避し,原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念」

 このガイドラインでの定義のポイントは、6カ月以上の期間をひとつの目安としていることと、社会的参加を回避するという点に注目していることです。

 そして「ひきこもり」というのは不登校と同じく、あくまで「状況」であって、その要因や背景はさまざまであるということを押さえておく必要があります。

 例えば、職場のパワハラをきっかけに「ひきこもり」になる方もいれば、不登校をきっかけとしたものや家庭の環境、発達障害、精神的な疾患などが「ひきこもり」の要因になっているケースもみられます。

 その点では「ひきこもり」の方への支援に関しても「不登校」のお子さんの支援と同様に、唯一の答えというものはありません。それぞれの方が持っている個別の課題を把握し、それらの課題に対して1つずつ支援を行っていくといった、地道な取り組みこそが必要だと、私は考えています。

 基本的には、ご本人の個別の課題について、関係機関と連携を取りながらきめ細やかな支援を行っていくこと。そして、ご家族のお気持ちを支えながら、コミュニケーションの改善を含めた支援をさせていただくことになります。

 私は「ひきこもり」の方の支援のポイントは、①ご本人に会うことができるケース、②ご本人に会うことができないケース、③ひきこもりが長期化しているケース、に大きく分けられ、それぞれの状況に応じた支援が必要だと考えています。

1.ご本人に会うことができるケース

 1つ目の「ご本人に会うことができるケース」では、ご本人の意向を伺った上で、対人援助者に会うことができるようであれば、その時のご本人のニーズや課題に合わせた支援を行います。

 ある程度の期間、他人と会わずに過ごしていると、他人が近くにいるだけでもつらさや違和感を感じられる方がいらっしゃいます。そのような方であれば、一緒の場(お部屋、リビングなど)で対人援助者と過ごすことからはじめることになるでしょう。

 そのように、ご本人の気持ちや状況に寄り添いながらも、焦らずに徐々に世界を広げていけるように、1つずつ具体的な支援をしていくことが大切です。

 例えば、ご本人ができそうな範囲で徐々に外出をしてみたり、ご本人が無理なく参加できるような居場所を一緒に探していくこともあるかと思います。

 また、就労も含めた社会参加への同行などもそうですし、必要があれば医療機関への受診を検討した方がよいケースもあります。

 何にせよ、ご本人の気持ちや思いについて、批判やアドバイスではなく、ただただ耳を傾けることが、はじめの一歩であると私は考えています。

2.ご本人に会うことができないケース

 2つ目の「ご本人に会うことができないケース」では、基本的にはご家族の方への支援からスタートすることになります。

 ご本人がひきこもりの状態になった時に、何よりも不安や心配をお持ちなのはご家族の方ですし、色々な面でお辛い思いをされていることと思います。

 まずはご家族の方に思いの丈をお話していただき、その中で気持ちや状況について一緒に整理をしていくことが大切です。

 その上で、ご本人との生活場面での対応や大切にしたいことについて、具体策を一緒に考えていきます。取り急ぎで困っていることや、ご本人とのコミュニケーションや対応など、生活上で起こるさまざまな課題について、ご家族の方と一緒にご対応をさせていただけたらと思います。

 また、並行してご本人へのアプローチも行っていきますが、あくまでその目的はご本人のことを心配しているということや、いつでも頼ることができる人がいるということをお伝えすることです。

 そのため、基本的にはご本人の気持ちを大切にしながら、お声掛けや手紙などによる働きかけを続けることで、寄り添っていくことになります。

 当研究所では、ご状況に応じて、ご家族の方への支援の中で「CRAFT」プログラムのワークブックを活用していきます。

 このプログラムは、ひきこもりのメカニズムを正しく理解し、コミュニケーションや問題解決の技法について、その具体的な内容を学び、身に着けるための、ご家族を対象とした内容です。

 「CRAFT」プログラムについては、個別で取り組んでいただくことも可能ですし、グループで行うこともあります。グループでの実施に関しては、当研究所でも企画することがありますので、その際にご参加いただくのも一つかと思います。

3.ひきこもりが長期化しているケース

 3つ目の「ひきこもりが長期化しているケース」では、ご本人の状況も含めて、色々な面でその後の進展が難しい場合があるかと思います。

 そのような場合では、ご本人に対する働きかけは継続しながらも、万が一状況が進展しない場合の生活面などの課題について、具体的な手立てをしていくことが必要になります。

 特にご本人が中高年の年齢になってきたときに、親御さんがどのような手立てをしておくかは重要なポイントです。

 昨今、障害をお持ちの方の支援において「親なきあと」の問題がクローズアップされています。「親なきあと」を安心して過ごせるように「親あるとき」に何ができるのかという考え方は、ひきこもりの方の支援においても大切な視点です。

 その点で、親御さんとご本人、ご兄弟、親類、関係者などの関係も視野に入れて、万が一親御さんに何かあった時の対応を考えておく必要があります。

 そのような対応に関しては、法律面をはじめ、さまざまな視点を持って考えていくことが必要です。そのような場合にも、当研究所では個々の状況を勘案した上で、ご家族の方と一緒に対応を考えさせていただきます。

 ここまで、支援のポイントについてあげさせていただきましたが、ひきこもりの方の支援は長期にわたることも多いため、実は対人援助者の人柄や、ご本人・ご家族との相性というのも、とても大切なことではないかと私は考えています。

 ご本人もご家族も肩の力を抜いて一緒に歩むことができること、困ったりつらい時に一緒の目線で考えてくれること、その上で社会資源について理解をしていること・・・。

 そんな対人援助者との出会いは、ご本人にとってもご家族にとっても、状況を変化させるためのきっかけになることでしょう。

 まずは、一人で抱え込まずに対人援助の専門家に、ご相談をすることから始めていただけたらと思います。

 あなたが勇気をもって踏み出した「はじめの一歩」は、引きこもりのご本人を支える「大きな一歩」につながります。

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