こんにちは。安城市にある「カウンセリングとソーシャルワークのさんぽ幸せ研究所」の原田亘です。
今日は、新横浜にて開催された「認知行動療法」のセミナーに参加してきました。
この「認知行動療法セミナー」は、リスタカウンセリングの千田恵吾先生が講師となって主催されている連続シリーズのセミナーで、本日はその第1回目でした。
千田先生は、認知行動療法によるカウンセリングに長年取り組んでいらっしゃって「カップルの認知療法」(フランク・M・ダッティリオ著、星和書店、2012)の監訳もされている有名な先生です。
私自身、この「カップルの認知療法」を拝読して感銘を受けた一人なので、今回のセミナーの内容に期待をして出かけました。
今回はシリーズ初回ということで「認知行動療法の基礎を学ぶ」というテーマに関して、認知行動療法の目指しているところや歴史から始まり、認知の歪み、自動思考、スキーマといった基本的な概念、そして、セッションの構造や技法について、症例を交えながら学びました。特に自動思考に働きかけるための技法である「認知再構成法」に関しては、認知行動療法における基本の技法ということで、丁寧に説明をしてくださいました。
今回のセミナーは基礎的な項目を中心とした内容でしたが、その中でも色々と印象に残ったことがありました。
1つ目は、認知行動療法というのは、人間の中でも認知や行動といった「見える」部分を対象にして行う技法であり、ある意味「常識的」な視点をベースにしたものであるということです。
この技法における禁忌のクライアント(提供してはいけない人)について話が及んだ際に「認知行動療法ができないクライアントはいるかもしれないが、基本的に禁忌のクライアントはいない」と千田先生がお話されていました。
エビデンス(臨床現場での科学的根拠)がある心理療法として知られている認知行動療法ですが、さまざまな症状のクライアントに禁忌なく提供することができるというのは、実践家にとっては、エビデンスがあるというのと同じくらいの大きなメリットであると、私は感じています。
2つ目は、認知行動療法は、物事にはっきりと白黒をつけるという考え方から、物事には白黒だけじゃなくて「グレー」だってあるよね・・・という感覚を身に着けていくことを目指す技法だということです。
特に、千田先生は、実践の中では「マイナスをプラスにする」ことではなく、「マイナスをグレー(プラスもマイナスもどちらもある)にする」ことこそを目的にするのが大切だということを強調されていました。
認知行動療法というのは「すぐに人生が変わる」とか「奇跡のメソッド」とかいう類の技法ではなく、きわめて「常識的」な中で行われる、堅実な対人援助の技法であるということを、あらためて確認することができたこと。そして、自らの対人援助の実践において、地に足の着いた、ある種の「コモンセンス(常識)」を丁寧に磨き続けていくことの必要性を再認識できたことが、今回のセミナーにおいての大きな収穫でした。
それは、認知行動療法について、講師の千田先生が内容を体系立てて、わかりやすい言葉で伝えてくださったからからこそ気付くことができたことであり、基礎的な項目の講義にこそ、教える側の力量や深みが表れるということの好例でした。
次回のセミナーでは、認知行動療法における各種の技法について、演習を中心した内容で進めていくとのことで、第1回目のセミナーの内容がとてもよかったので、次回に参加させていただくのがさらに楽しみになりました。
※ちなみに、冒頭の写真は新幹線の車窓から見えた富士山の姿です。三河安城駅を出た時には曇っていたのですが、静岡県を通過する頃には快晴で、あまりにキレイに見えたので、思わず掲載してしまいました。ありがたや、ありがたや(^^)
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