「一般社団法人しん 地域活動支援センターとびら」を見学してきました。

　こんにちは。安城市にある「カウンセリングとソーシャルワークのさんぽ幸せ研究所」の原田亘です。

　今日は名古屋市西区にある「一般社団法人しん」が運営している「地域活動支援センターとびら」と「地域自立支援センターみち」を見学させていただき、「とびら」の管理者である手島様と、「みち」の生活支援員である宮﨑様にお話を伺ってきました。

　「一般社団法人しん」は、精神・発達障害がある方の地域生活支援を行っていて、精神科病院に勤めていた3人の専門職の方が、５年ほど前に立ち上げた法人です。

　現在では、生活支援と就労支援のための３か所の事業所と、啓発事業としてボランティア団体を運営されています。そして、この９月からは「リカバリーカレッジ名古屋」という、障害のある人や支援者、一般市民など様々な人が協働して、人生を豊かにしていくための方法を学ぶという独自事業を始めて、注目を集めています。

　また、精神障害の当事者の方を「ピアスタッフ」として雇用されているとのことで、精神障害の方の就労だけではなく、さまざまな角度から地域や社会との「つながり」を応援している様子が伝わってきます。

　「地域活動支援センターとびら」では、精神障害のある方が１日に２０人から２５人ほど利用されています。気軽に通うことができる居場所として「会員制の喫茶店」というイメージで運営をされているそうです。

　毎日、身体を動かすことやパン作りといったプログラムを用意されていますが、参加するかどうかは本人の自由ということで、プログラムを行うスペースと、参加しない方がゆっくりと過ごせるスペースを、きちんと分けるといった工夫をされています。

　こちらの事業所でも、精神障害の当事者の方を「ピアスタッフ」として雇用しているとのことですが、手島さんは多種多様な人が安心して働くために、それぞれの職員の個別の役割を明確にした上で、その強みを生かして業務に取り組んでもらうように配慮しているそうです。

　人数が集まれば、ご利用者の中でトラブルが起こることもあるそうですが、そのトラブル自体も大切な経験としていただけるように、プログラムの中の話し合いの場面で議題としてあげて、皆で一緒に考えるようにしてるとのこと。

　この日も「当事者研究」ということで、ご利用者の悩みごとについて、グループリーダーを中心に話し合いをされていました。

　話し合いの当初は、何となくがやがやとしていたグループが、だんだんホワイトボードの内容に集中していく様子が、とても自然な感じで素敵だなぁと感じました。

　次に「地域自立支援センターみち」を見学しましたが、「みち」では「大人の寺子屋」をイメージして、目標に向けて学習・訓練をしたい方に対して、個別面談を軸にしながら、さまざまなプログラムを提供されています。

　１日に１５人から２０人程度の方が利用されているとのことで、ＳＳＴやアサーションなど認知行動療法によるプログラムや、身体を動かすプログラム等を、集団もしくは個別に実施をしているそうです。

　私がお伺いした時には、体幹トレーニングを行っていて、インストラクターをしている職員さんと、ご利用者が活発に言葉を交わしながら、気持ちよさそうに身体を動かしていたのが印象的でした。

　こちらでは、ご利用者への週１回の個別面談によって、こまめに目標設定や課題について考えながら、その方に合わせた支援を行っているとのことで、ご利用者を丁寧に支えていけるような取り組みをされていることがお話から伝わってきました。

　今の世の中は、どの人にとっても生きづらい社会だと思いますし、その中で病気になったり、心に傷を負うことは、誰にでもあることだと思います。そんな中で、そのことを「自分ごと」として捉え、何をしていけるのかに思いを巡らすことが大切だと、私は考えています。

　今回ご見学をさせていただく中で、「一般社団法人しん」の方々が、色々な課題を「自分ごと」として捉え、丁寧に実践されているのを、実感として感じることができ、色々な面で学ばせていただきました。

　お忙しい中、お時間をいただいてご対応をいただいたことに深く感謝いたします。本当にありがとうございました。